研究課題/領域番号 |
11207203
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
新井 康夫 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90167990)
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研究分担者 |
江村 恒夫 東京農工大学, 工学部, 教授 (40015053)
大須賀 鬨雄 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (20168925)
尾高 茂 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (20160880)
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キーワード | 時間測定 / 集積回路 / ドリフトチューブ / ミューオン検出器 / 放射線耐性 / PLL回路 / TDC |
研究概要 |
アトラス実験のミューオン検出器は、超電導空芯トロイド電磁石中に置かれた約40万本のドリフトチューブよりなり、陽子・陽子衝突反応で生成されるミューオンの運動量と位置を単独で精密に測定することが出来る。この検出器の性能を充分に引きだすためには、300psという高時間分解能を持った時間測定集積回路(TDC:Time to Digital Converter)が必要とされる。本研究では、このTDCチップを最先端ゲートアレイプロセス(0.3μmプロセス)を使用し開発している。このチップは、約120万個のトランジスターを含み、ひとつのチップに24チャンネルの入力を持ち、不感時間なしに入力パルスの立ち上がり・立ち下がり時間を測定することが出来る。 平成12年度は、前年度に試作したプロトタイプチップ(AMT-1)の性能試験をまず行った。このTDCは、内部に複雑なデーター処理回路を持つが、これらの回路が目的通り働くことが各種試験により確認された。また、世界各地で製作が始まっている検出器に装着して試験するため、約400個のチップがボストン大学に送られ、読み出し回路基板に実装され使用された。これらの結果は2001年2月にCERNで開かれたPreliminary Design Reviewに於いて高い評価を得た。また、2000年9月のポーランド・クラコウでの"Workshop on Electronics for LHC Experiments"でも報告された。 さらに、AMT-1の成功に基づき、量産化を目指したチップ(AMT-2)の開発も進められた。このチップでは細かい不具合の修正や、試験の容易化、回路の安定化、低消費電力化が一層計られ、また周辺回路の集積化も行われた。平成13年度において、このAMT-2チップの回路試験や放射線耐性試験が行われる予定である。
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