研究概要 |
これまでに蓄積されてきている強震動予測手法にもとづいて,震源モデルの高精度化を目指した実記録に基づく震源過程の推定と,国内外の被害地震をターゲットとした強震動評価を実際に行い,その方法の妥当性を検証している. スラブ内地震である2002年芸予地震(Mw=6.8)の震源過程を,高密度展開されている強震観測網データを用いて分析し,複雑な断層面モデルの必要性を示した.また,破壊伝播様式と強震波形の特徴について考察を行った. 梢深発のスラブ内地震の震源特性を,地殻内地震との対比で比較した.応力降下量の深さ依存性が示唆されている. 運動学的震源インバージョンで得られた断層面上のすべりの時空間分布をもとに,動的な情報である応力履歴を推定し,特性化震源モデルの応力降下量の推定を行った.アスペリティ領域は10-20MPa,非アスペリティ領域は1-5MPa程度であり,非アスペリテイ領域の短周期への寄与が小さいことが示唆された. 被害地震の強震記録や被害分布をターゲットとして,特性化震源モデル及び地下構造モデルに基づいて,あるいは経験的(統計的)グリーン関数法によって強震動評価を行い,モデルの検証を行った.特性化震源モデルに基づく強震動予測方法の妥当性が示されている.これらの研究成果の一部は次ページに示されている. 2002年10月に米国研究者及び国内の強震動研究者での合同ワークショップを行い,上記の研究成果を中心として最新の研究成果の情報交換と強震動予測の高精度化,及びターゲットとする強震動研究に関する議論を行った.
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