研究分担者 |
森崎 友宏 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (60280591)
増崎 貴 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (80280593)
中村 幸男 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 教授 (40136560)
舟場 久芳 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (40300727)
鈴木 肇 中部大学, 工学部, 助教授 (20260044)
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研究概要 |
1.ヘリオトロン型装置におけるダイバータプラズマ特性の解明について LHD,Heliotron-E(日本),Uragan-3M(ウクライナ)などのヘリオトロン型装置では,ダイバータへ流入する熱・粒子束の非対称性が観測されている.Uragan-3Mでは,RF加熱電力の増大とともにダイバータへの粒子束及びその上下非対称性の度合いも増加する.上下非対称性はイオンのトロイダルB×▽Bドリフト方向への粒子束が大きい形で観測されている.加熱電力の増大により衝突頻度が低下し,また閉じ込め領域のイオン速度分布の高速テール成分の増加することにより高速イオンの直接損失が増大することによると考えられる.また,RF加熱電力がある程度大きくなると閉じ込めの改善(密度,温度,蓄積エネルギの増大)が観測されるが,この際にも高速イオンの挙動とダイバータ粒子束及びその上下非対称性の変化が見られ,前述の理解と矛盾しないことが分かった. 2.高効率水素排気装置の開発について 核融合実験装置ではプラズマ容器内に炭素系材料を使用しているため,不純物として大量の炭素がメンブレン表面に堆積する可能性がある.そこで,メンブレン金属(Nb)の炭化がメンブレンの水素透過性能にどのような影響を及ぼすかを広範囲の金属炭化量(C/Nb=40%)まで調査した.その結果,水素分子の透過に関しては10分の1以下に低下するが,水素原子に対しては50%程度の低下で抑えられることが分かった.大型ヘリカル装置のプラズマ容器内に設置したメンブレンパネルを約6ヶ月間のプラズマ実験後に取り出したところ,パネルに堆積していた不純物は炭素がほとんどであり,ニオブ金属表面にNbC, Nb_2Cを形成していることが表面分析で明らかになった.このパネルの水素吸蔵能力はパネル温度に依存し,特に常温付近では吸蔵能力は極端に低下していたが,適当な高温加熱を実施すれば吸蔵能力に大きな影響はなかった.以上から,NbC層は水素透過及び吸蔵に対する影響は小さく,メンブレンパネルの高温運転(〜500℃)が可能であれば,炭素不純物の金属内での炭化によって継続的な運転が可能であることが示された.
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