研究課題
特定領域研究(B)
超伝導工学開発の一環として、高温超伝導体を用いた大電流電流リードの開発研究を行っている。高温超伝導(HTS)電流リードの開発では、日本原子力研究所やCERNでそれぞれ 10kA 級及び 13kA までの実績がある。しかし、LHD第II期では、ヘリカルコイル用に 17.3kA、 ポロイダルコイル用では最大 31.3kA の電流リードが必要とされる。このため、より大電流を目指したHTS電流リードの開発を、東海大を中心とした国内の共同研究と共に、マックスプランクプラズマ物理研究所(IPP)及びカールスルーエ研究所(FZK)との国際共同研究で進めている。平成11年度は、東海大で開発された拡散法による Bi2212 ロッドの大電流通電特性について、核融合研で実験を行い、液体ヘリウム中で 6.22kA までの通電に成功している。今後サンプルの大型化と機械的な補強を施し、HTS電流リードへの応用を目指している。IPPでは、建設が開始される超伝導モジュラーステラレータ W7-X(定格電流16kA)へのHTS電流リードの適用が計画されており、冷却システムの最適設計、高温超伝導体の要素実験などが開始されている。本共同研究の項目として、これらの設計検討及び要素実験を共同で行っている。FZKでは、60kA 高温超伝導電流リードの開発研究が進められており、その前段階として銀合金シースの Bi2223 テープを用いた 10kA の高温超伝導ユニットを開発しテストを行っている。本共同研究として、平成12年度にFZKで開発中の銀合金シース Bi2223 テープを用いた 20kA 級電流リードを、核融合科学研究所・低温実験棟の大型超伝導試験設備を用いて冷却通電実験を行う予定であり、そのための設計検討及び準備作業を行った。