研究課題/領域番号 |
11211202
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
新井 正敏 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (30175955)
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研究分担者 |
山口 敏男 福岡大学, 理学部, 教授 (70158111)
福永 俊晴 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60142072)
三沢 正勝 新潟大学, 理学部, 教授 (80005941)
山室 修 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20200777)
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 助教授 (20152788)
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キーワード | パルス中性子 / 局所構造 / ダイナミックス / 非晶質 / 動的構造 / MAPS分光器 / 日英協力 |
研究概要 |
本日英協力事業で進めてきたMAPS分光器の建設は平成12年度に終了し、その後約一年間の試運転を行った。そして、平成13年度6月より本格的な研究に入った。また、MAPS分光器以外の既存の分光器を適宜使用して研究を進めた。本研究班は「非晶質等新素材の動的構造と局所構造の研究」を受け持っている。本研究班では、非晶質の普遍的熱物性の起源を探る研究を行っている。平成13年度には非晶質特有の低エネルギー励起の原因を調べるために、圧縮石英ガラスの原子変位について詳細な研究が行われた。これは、広範なエネルギー・運動量空間で動的構造因子を観測することにより、その弾性散乱成分とエネルギー積分成分を比較することにより行った。その結果、非晶質中のボイド空隙を取り巻く偽二次元的領域とそれとは直角に空隙に向かう原子変位が非常に違うことがわかった。これは、これまでコンピュータシミュレーションに夜研究からも言われていたが、それを実験的に実証したことになり、非晶質の普遍的熱物性の起源の理解に歩近づいたと言える。また、Ni-Zr金属ガラスにおける動的秩序構造研究では、擬ブリルアンゾーンと呼べるような構造周期性を有していることが明らかとなっているが、これがいかなる原子構造に由来するものであるのかを明らかにすることを目的として同物質の結晶相の原子振動モードの観測を行い、金属ガラスにおける構造を極めて定量的に議論できることを初めて示した。さらに、半導体一金属転移に於ける液体テルルーセレン合金の鎖間相互作用の研究においては、金属化領域では長短2種類の共有結合の繋ぎ変わりが起きていることを観測し、また、半導体相では明瞭であった結合の変角・伸縮に対応する振動モード間のギャップが金属相では不明瞭になる様子が観測されるなど、これまでにない知見が得られた。
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