研究概要 |
本研究班の主なる研究課題は物質中の水素の挙動であるが、高分子等の研究も分担しており、その中でも表面界面の研究に大きな進展があった。研究は、ISIS施設のCRISP中性子反射率計でなされた。 これまで室温で行ってきたブロック共重合体薄膜の中性子反射率測定を,ガラス転移温度(〜110℃)以上の高温で実施し,異種ブロック鎖間に働く相互作用力が異なる条件下で,薄膜中のミクロ相分離構造を詳細に調べた.測定は分子構造の単純なスチレン-2-ビニルピリジン二元ブロック共重合体(PS-P2VP)が作る交互ラメラ構造を対象とし,調製した膜厚の異なる複数の試料薄膜の中から,表面粗さや構造の乱れの少ない最適な試料薄膜を選び,測定に使用した.その結果,PS-P2VP薄膜が形成するラメラ構造は,約200℃の高温下においても十分にその秩序性を保ち,またドメインサイズは温度の上昇に伴い大きくなることが判った.これにより,薄膜中に形成されたラメラ構造の大きさは,SANS測定によりバルク中で観測される,無秩序状態における,ブロック共重合体の特性サイズの温度依存性と逆の傾向を示すことが明らかになった.
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