半導体ナノ構造の物理的基礎とその応用

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11212101
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949)
• 研究分担者: 池上 徹彦 会津大学, 学長 (10315674) ; 難波 進 大阪大学, 基礎工学部, 名誉教授 (70029370) ; 冷水 佐壽 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50201728) ; 荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
• キーワード: 半導体 / ナノ構造 / 量子光物性 / 量子ドット / 量子細線 / 量子井戸 / 強磁場 / 量子現象

研究概要

本研究は、日英協力を中心とした研究を目的としているが、本年度も英国側研究者との共同研究、討論を進めながら、研究を推進した。2002年7-8月には、英国のEdinburghで「半導体物理学国際会議」、Oxfordで「強磁場の半導体物理学への応用に関する国際会議」が開かれたが、これには本研究班のほとんどのメンバーや英国側の研究者が参加したので、会期中に共同研究の成果について多くの討論を行う機会を得た。また両会議の合間の週末を利用して8月2日-4日にEdinburghとOxfordの中間に位置するDuram大学理学部において、日英セミナーを開催した。日本側から9人、英国側から7人の研究者が参加して、活発な討論が行われた。日本側の出席者は本研究班の班員ないし代理であり、英国との共同研究の成果について発表し、これを中心に議論がなされた。英国側からは、例年本研究計画の世話をして下さるNottingham大学のEaves教授を中心に多くの興味深い話題提供が行われた。Daletrack社のKershawはナノ結晶の赤外素子への応用について、Cambridge大学のBarnesは量子計算機用の固体素子について、Durham大学のAbramは非線形リング共振器のコヒーレント共鳴について、Cardiff大学のElliotは量子ホール効果の渦電流効果について、Nottingham大学のFromholdは半導体超格子の輸送現象にみられるカオス現象について、Nottingham大学のEavesはサブミクロン程度のチャンネルをもつp型量子井戸構造における非線形輸送現象について、それぞれ講演があり、これをめぐって多くの討論が行われた。またこのセミナーの会期中に、今後の共同研究の可能性や具体的な計画についての討論を行った。

研究成果

• [文献書誌] Y.H.Matsuda, N.Miura 他: "Effective Mass of Conduction Electrons in Cd_<1-x>Mn_xTe"Physical Review B. 65巻. 115202 (2002)
• [文献書誌] T.M.Fromhold, L.Eaves, N.Miura 他: "Tunneling Spectroscopy of Mixed Stable-Chaotic Electron Dynamics in a Quantum Well"Physical Review B. 65巻. 155312 (2002)
• [文献書誌] K.Shibata, N.Miura 他: "Study of Band Nonparabolicity Using Electron Cyclotron Resonance of InGaAs/InAlAs Quantum Wells below 100 T"Physica E. 12巻. 566 (2002)
• [文献書誌] N.Miura, Y.Shiraki 他: "Anomalous Diamagnetic Shift of Excitons in II-VI Quantum Dots and in Indirect Short Period Superlattices"Physica E. 13巻. 263 (2002)
• [文献書誌] T.Yasuhira, N.Miura 他: "Exchange Interactions in CdMnTe/CdMgTe Quantum Wells under High Magnetic Fields"Physica E. 13巻. 568 (2002)
• [文献書誌] A.Polimeni, L.Eaves, M.Miura 他: "Linewidth Broadening of Excitonic Luminescence from Quantum Wells in Pulsed Magnetic fields"Physica E. 13巻. 349 (2002)