研究課題/領域番号 |
11213202
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菊沢 喜八郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (50271599)
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研究分担者 |
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 助手 (90293919)
嵜本 道徳 京都大学, 農学研究科, 助手 (50225835)
藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307)
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キーワード | 炭素吸収モデル / 葉寿命 / 開葉期間 / 出現順位 / 常緑性 / 落葉性 / 光合成 / フェノロジー |
研究概要 |
葉寿命と開葉期間の間に負の相関が存在するのが発見された。これは、開葉期間の長い種は葉寿命が短く、開葉期間の短い種は葉寿命が長いというKikuzawa(1983)の観察を定量化したものである。芦生(京都府)および美唄(北海道)でそれぞれ独立に得られた関係式を比較すると、勾配が同じで平均寿命だけが変化する平行線となることが分かった。この成果は異なる緯度(あるいは温量指数)の地域へと地理的に発展させることが可能である。フェノロジーと光合成速度の関係については、主な樹種の比較から、開葉の早いものは最大光合成速度が低く、開葉の遅いものについては最大光合成速度が高いという藤田らがシベリアで得た予測を裏付ける一般的傾向が芦生においても見られた。この研究は今後、常緑性・落葉性の緯度方向への分布、高度方向への分布に発展させることが可能である。フェノロジーデータをモデル化するために、葉の出現順位(葉のオーダー)を組み込んだ炭素吸収モデルを構築した。葉のオーダーと葉の垂直的な位置が一対一で対応する単純な例として草本群落を材料とした。モデルの内容は次の通りである。それぞれの葉に当たる光は時間とともに減衰する。この時間による減衰のしかたは葉のオーダーによって異なる。光合成能も時間とともに減少する。この減少のしかたも葉のオーダーで変わる。以上から、葉の光合成はオーダーと時間の関数として記述できる。これを光-光合成関係で補正し、ある時点での実現光合成速度を求める。瞬間最大光合成速度と日光合成速度間の関係をもちいて日光合成速度を得る。これを積分して年間の量を推定する。このモデルによる予測値を実測値により検証した。
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