研究分担者 |
田中 教幸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10261348)
東 正剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (90133777)
岩熊 敏夫 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60124335)
大崎 満 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60168903)
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30221930)
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研究概要 |
北海道大学苫小牧地方演習林の森林生態系観測ステーションを利用して,森林生態系の集水域レベルでの動態と変容の精密な観測を実施した. ルーチン永久調査区調査として,ステーション幌内川二次林1ha(春),10ha(秋),フラックスタワーサイト0.25ha(春)勇払川原生林4ha(秋)の各毎木調査を実施した.また,幌内川二次林の1ha内では,春に樹高測定を行った.林齢の異なる二次林分の発達過程を解析するために,19年・46年・76年生の各カラマツ人工林・二次林において,カラマツ・ミズナラ・イタヤカエデ各6個体を伐採し,高さ50cm毎に円盤を採取し,樹幹解析を実施した.主要樹種・草本種50種について葉の栄養塩組成のスクリーニングを行った. ステーション内の一次林において,土壌呼吸量と腐植土中に生息する中型土壌動物の呼吸量を測定した.1時間・1平方メートルあたりの土壌呼吸量(二酸化炭素量は,初春と晩秋で8-10ml,晩春から初秋にかけて120-140mlであった.そのうち土壌動物の呼吸量が占める割合は,春と夏で5%以下であったのに対し,晩秋には10%以上となり,場所によっては約25%にも達した.今回は腐植土層中の土壌動物だけを対象としたが,腐植土層より下で越冬するアリ,大型昆虫,両生類,爬虫類,哺乳類などを加えると晩秋から冬にかけての土壌呼吸は,そのほとんどが動物由来である可能性がある. 林冠渦相関法をもちいてCO2,水,エネルギーの通年観測を実施,比較的大きな年々変動の様子を捕らえている.この変動の要因のひとつとして,林床におけるCO2の生成,逃散の変動も重要な要素になっていることが推定された.フラックスタワーサイト近く南西部に1ヘクタールのプロットを設営し10メートル〜5メートル間隔で観測グリッドを切った.ポータブルCO2赤外線吸光計,パームトップパソコン,フラックスチャンバーから構成される可搬式の測定装置を製作し,補正のために任意の固定点で気温とフラックスの日周変動の観測も行った.観測から,フラックスの水平分布が数十センチメートルから数メートルの空間スケールで大きく変動していることが示唆された.
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