研究課題/領域番号 |
11213206
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
占部 城太郎 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (50250163)
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研究分担者 |
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
川端 善一郎 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (80108456)
中西 正己 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (60025434)
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キーワード | IGBP / 琵琶湖 / 植物プランクトン / 動物プランクトン / 炭素収支 / DOC / 細菌 / リン |
研究概要 |
琵琶湖及びその流入河川において水質・生物調査を行うとともに、アルミをマーカーとして琵琶湖北湖の炭素収支を見積もった。その結果、炭素有機物の流入量は184gCm^2/yr、流出量は167gCm^2/yr、沈降量は78gCm^2/yrであること、その差額61gCm^2/yrは光合成により大気から吸収されていると見積もられた。さらに植物プランクトンにより固定される内生性有機物は323gCm^2/yr、生物群集全体の呼吸量は262gCm2/yrであった。したがって、琵琶湖の生物群集はNet Autotrophyであるとともに、炭素に対してネットシンクであることを示唆している。このように琵琶湖に現存する有機物の6割は内生性のものであるが、同時に測定したリン収支の結果、琵琶湖内で植物プランクトンにより生産される炭素有機物は流入するリンにより促進されていることが明らかとなった。すなわち、琵琶湖に現存する炭素有機物の多寡は直接・間接的に集水域に依存している。 琵琶湖湖水と流入河川水の溶存有機物に対する細菌の利用効率を実験により調べたところ、細菌の利用効率は琵琶湖湖水中の溶存有機物のほうが高いことが明らかにされた。これらの結果から、琵琶湖に流入する有機物の多くは生物非可給態であり、大半は流出していることを示唆している。今後は、流入する溶存有機物の生物群集に対する機能面について明らかにする必要がある。
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