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1999 年度 実績報告書

陸水系における物質循環からみた陸域生態系の応答

研究課題

研究課題/領域番号 11213207
研究機関名古屋大学

研究代表者

吉岡 崇仁  名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (50202396)

研究分担者 増澤 敏行  名古屋大学, 大気圏科学研究所, 助教授 (40023858)
大田 啓一  名古屋大学, 大気圏科学研究所, 助教授 (80022250)
田上 英一郎  名古屋大学, 大気圏科学研究所, 教授 (50133129)
大手 信人  京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10233199)
木平 英一  名古屋大学, 大気圏科学研究所, 日本学術振興会特別研究員
キーワード溶存有機物 / 硝酸態窒素 / 三次元蛍光 / 森林生態系 / 陸水生態系 / 琵琶湖集水域
研究概要

実施状況
1)森林流域から流出するDOCの形成過程に関しては、桐生試験地において、土壌水中のDOC濃度と紫外吸光度を指標として、森林から流出するであろうDOCの形成過程を調査した。不飽和帯の土壌におけるDOC濃度の深度方向での減少は、Alとのキレート形成・沈殿と、陰イオン吸着によるDOC除去によることが示唆された。飽和帯ではこの傾向が小さいことなど、土壌環境によるDOC形成の違いが見いだされた。土壌深度100cmでのDOC濃度は、飽和地下水帯や渓流水に比べて2倍以上高かった。
2)琵琶湖集水域に分布する渓流水中のDOC、NO_3^-の濃度に、逆相関のあることが見いだされた。この関係は、季節的にも保持されていることが分かったほか、関東や北海道の集水域においてもほぼ同じ傾向がみられ、より一般的な現象であることが示された。また、各渓流の集水域に関する地質、植生、降水量などの環境因子とDOC、NO_3^-濃度の関係を解析した結果、森林が若い地域においては、DOC濃度が高く、窒素欠乏にあることが示された。これは、若い森林が窒素欠乏的であり、NO_3^-が流出してこないという従来の知見と一致している。森林土壌からのCO_2、N_2OフラックスとDOC、NO_3^-濃度にも関係が見いだされたことから、渓流水質が森林の炭素・窒素循環の結果を反映していることが分かった。
3)渓流水のDOC濃度と三次元蛍光強度との間に強い相関が得られ、森林由来のDOC濃度を推定することができた。この関係を用いて、琵琶湖における外来性DOCの寄与を推定したところ、約40%のDOCが外来性であるということが示唆された。自生性DOC濃度は40-90μM Cで、夏に多くなるという季節変化を示した。これらのことから、蛍光強度測定がDOMの動態解析に有効であることが示された。DOCの炭素同位体比測定からもDOCの起源を推定できることが示された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ohte, N.: "Geographical variation of the acid buffering of vegetated catchments : Factors determining the bicarbonate leaching"Global Biogeochemical Cycles. 13. 969-996 (1999)

  • [文献書誌] Ohte, N.: "Geographical variation in CO_2/H_2O exchange properties of forest canopy : Observations and model applications"Proceedings of '99 Workshop on GAME-Tropics in Thailand, GAME B Publ.. 18. 210 (1999)

  • [文献書誌] 大手信人: "水文学と物質循環論が交わるところ"水文・水資源学会誌. 12. 13-14 (1999)

  • [文献書誌] 吉岡崇仁: "地球温暖化と陸水環境-温暖化は陸水環境をどう変えるか-"陸水学雑誌. 60・1. 101-103 (1999)

  • [文献書誌] 吉岡崇仁: "地球環境変化に対する陸水の応答 -集水域研究の重要性-"陸水学雑誌. 61・1. 97-103 (2000)

  • [文献書誌] 大手信人: "「環境の保全と計画」"京都造形芸術大学編、角川書店. 153 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2014-03-18  

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