研究課題/領域番号 |
11213209
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
檜山 哲哉 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (30283451)
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研究分担者 |
吉田 尚弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60174942)
玉川 一郎 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40273198)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
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キーワード | 陸水系 / 様々な陸域生態系 / 都市二次林 / CO_2の施肥効果 / GPP(光合成総生産量) / NEP(生態系純生産量) / SR(土壌呼吸量) / 地球温暖化 |
研究概要 |
森林や水田・湿地等の陸域生態系における温室効果ガス(特にCO_2)の、主に大気との間の交換過程を明らかにすることを目的として研究を進めている。平成12年度においては、CO_2の施肥を直接被る都市二次林でのCO_2・水・熱輸送過程を季節変化スケールで明らかにした。 群落レベルでのCO_2・水・熱輸送量(フラックス)の長期モニタリングは、樹冠上(21m)に設置した乱流計測機器により行い、土壌呼吸量(有機物分解量+根呼吸量)は土壌呼吸チャンバーによる測定と地温を用いた推定からそれぞれ求めた。NEP(Net Ecosystem Production;生態系純生産量)とSR(Soil Respiration;土壌呼吸量)の季節変化をそれぞれ求め,当森林における年間のCO_2収支を求めた結果、NEP=-6.58(tCha-lyear-1)、SR=5.88(tCha-lyear-1)となった。年間のNEPは他の森林生態系と比較すると非常に大きく、南ヨーロッパの常緑樹林での観測結果とほぼ同規模のCO_2の吸収があったことになる。この原因としては、中・下層を常緑広葉樹が構成している点と、都市内に存在していることによるCO_2の施肥が考えられた。 一方、西シベリアの湿地と東シベリアのアラス(草地)におけるCO_2・水・熱輸送過程に関する観測を行い、加えてその他の陸域生態系における観測結果をレビューし、それぞれの特徴を比較した。光合成総生産量(GPP)は葉面積指数とほぼ線形の関係にあったが、植物自体の呼吸と土壌呼吸が気温や地温の大小に大きく影響されるため、葉面積指数が大きくとも、気温や地温が高くなる夏期には呼吸量が大きくなった。そのため草地生態系においては、夏期においても、生態系純生産量(NEP)は気温や地温が低い春期と同程度となった。一方、北方落葉林や都市二次林では、気温や地温が低く、展葉後の経過時間(葉齢)が小さい春期に、夏期よりもNEPが大きくなる結果が得られた。これらの結果は、地球温暖化が、高緯度における特に草地生態系において、CO_2収支に大きな影響を及ぼすことを意味している。
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