研究課題/領域番号 |
11214201
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
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研究分担者 |
栄 伸一郎 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (30201362)
太田 隆夫 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50127990)
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
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キーワード | 反応拡散系 / 結晶成長 / パルスダイナミクス / 相分離 / カオス / 遷移ダイナミクス / 分岐 / 自己組織化 |
研究概要 |
特異極限法の本質はスケールの違いを利用して、複雑なダイナミクスから非本質的部分を取り去り、スケルトン構造を抽出することにある。最も典型的には、空間的スケールの違いを利用して、界面方程式を取り出し、その運動を解析することで元の方程式系のダイナミクスを理解するというものである。本特定研究の3年の期間で得られた大きな成果は単にこの方法を発展させたのみならず、より複雑な時空パターンに対しても有効ないくつかの方法の基礎を形成したことである。それにより自己複製パターン、時空間自己相似パターンをはじめとする様々な遷移ダイナミクスの新たな理解の視点を得ることができた。以下に本年度の成果を列挙する <進行波解の自己分裂過程の特異点解析による解明> 進行波解への分岐と分裂の不安定性が同時に縮退した余次元2の特異点の解析を実施することによりモデルによらない進行波パルスの分裂についての普遍的結果得られた。 <メゾフェイズの形態転移と2次元進行波> 高分子ポリマーあるいは形態形成等におけるパターンの遷移過程においてdefectにより形成される進行波の数値的および理論的考察を行った。特に2次元進行波においてはその速度は両端のエネルギー差に比例するが、そのどちらも最小解でない場合、自発的に界面において最小解が生成されることが示された。 <離散散逸系におけるカオス的挙動をする局在パルスの研究> 格子(lattice)上の自己複製散逸系において特徴的なことは局在化したパルス構造を保ちながら空間方向にカオティックに挙動するものが存在を数値的に示した。 <振動的結晶成長のメカニズムの解明> アスコルビン酸のメタノール溶液を室温下で蒸発させた際の結晶化が、アモルファスから針状結晶への1次相転位であることを実験的に確かめそれに基づいたモデリングを行った。 <マルテンサイト合金の時効効果> 結果と整合するためには遅い変数が保存量でなければならないことを明らかにした。さらに、ミクロ相分離ドメイン構造における構造間転移の計算機シミュレーションを行い、ドメイン形態の変化の時間発展を詳細に調べた。
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