研究概要 |
本研究課題に関連して,以下の成果が得られた. (1)退化型拡散方程式の不安定多様体:退化した拡散方程式の解の挙動は,非退化型の方程式の解の挙動と大きく異なっていることはよく知られているが,これまでその違いを力学系の立場から扱った研究は少なかった.本研究では,porous-media型の退化拡散方程式の場合,不安定平衡解u=0の不安定多様体のハウスドルフ次元が常に無限大であることを明らかにした(裏面の文献1). (2)特異極限下での界面運動の研究:ある種の非線形拡散方程式の拡散係数を0に収束させた特異極限下で現れる界面の運動については近年盛んに研究が行なわれているが,方程式中の係数が空間的に非一様である場合については,これまで十分な研究がなされていなかった.俣野は,空間的に非一様な係数をもつAllen-Cahn方程式の界面の挙動を漸近的手法で解析し,その理論的結果の正当性を数値シミュレーションによって確認した.また,その成果を用いて,走化性(chomotaxis)モデル方程式と同じ空間的パターンを実現する簡略化モデルの構成に成功した(裏面の文献2). (3)球対称な重みを持つ固有値問題の研究:球対称な重みを持つ固有値問題をユークリッド空間上で考え,その固有値や固有関数の特徴付けを行った.この結果は爆発問題やある種の変分問題をはじめ,さまざまな問題に応用できる(裏面の文献3). (4)複素力学系における分岐構造:有理関数が定める複素力学系の放物型不動点の分岐構造を解明した(裏面の文献4).
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