研究課題/領域番号 |
11214205
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
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研究分担者 |
木村 正人 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70263358)
三村 昌泰 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50068128)
香取 眞理 中央大学, 理工学部, 教授 (60202016)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 成長パターン / パターン形成 / 細菌(バクテリア) / 集落(コロニー) / 枯草菌 / プロテウス菌 / 反応拡散系 / 同心円状パターン |
研究概要 |
細菌は彼等の環境条件としての栄養濃度や培地の固さを変えるとそれに応じて特徴的かつ多彩な形の集落(コロニー)を形成する。このこと自体、細菌が単純に単細胞的にかつ受動的に生きているのではなくて、何らかの仕方で環境という場と積極的にかつ集団的に相互作用していることを示唆する。 本研究班ではこれを解明することを主要な課題として、細菌の微視的活動から集落形成の巨視的側面に到るまでの全てに注目してきた。実験的にはマクロな集落形成をタイムラプスビデオで記録し、メゾスコピックな観察を実体顕微鏡で行い、集落形成中の細菌の微視的な振舞いを顕微鏡観察して記録し、解析してきた。その結果、少なくとも枯草菌、プロテウス菌、霊菌などいくつかの細菌に対して、それらが集団的に形成する集落の多様なパターンについては、彼等の最も重要な環境条件としての栄養濃度と培地の固さを変えたときのモルフォロジー・ダイアグラム、それぞれの成長条件、特徴などを明らかにすることができた。理論的には以上の観察結果がどこまで反応拡散系として記述できるかを徹底的に考察してきた。これらの研究成果は細菌集団の作る成長パターンの研究に留まらず、細胞集団あるいは生物集団一般のパターン形成の実験的、理論的研究の拡張につながる。 プロテウス菌は接種後の準備期を経て集団的に一斉に遊走し始め、2、3時間の遊走期の後にやはり2、3時間続く静止期に入る。その後は遊走期、静止期を交互に繰り返し、結果として同心円状の集落を形成する。平成11、12年度の実験成果と反応拡散方程式を基礎にして、この周期的な集落形成を理論的・数値的に考察した。プロテウス菌の場合には細菌密度がある閾値を越えると遊走期に入るという実験的証拠が平成11、12年度の研究で得られた。同じことが、同じく同心円状集落を形成する枯草菌や霊菌についてもいえるかどうかをチェックするとともに、静止期に入る現象論的な機構を探った。
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