研究課題/領域番号 |
11215204
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷村 克己 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00135328)
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研究分担者 |
秋元 郁子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00314055)
伊東 千尋 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (60211744)
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キーワード | 電荷移動有機錯体 / 光誘起構造相転位 / TTF-CA / 非線形相互作用 |
研究概要 |
本年度は、計画通り、主にtetrathiafulvalene-p-chloranil(TTF-CA)における光誘起イオン性・中性相転移の動力学のフェムト秒時間分解分光法による研究を行った。 1)分子内遷移および電荷移動遷移をフェムト秒光パルスで励起し、その後に発生する相転移の時開発展を反射分光により検出した。その結果、(1)いずれの励起においても、イオン性相から中性相への変換は、20ps程度の時定数で支配される高速の現象である事、(2)励起後準安定状態の中性相が生成されるまでには、構造変化による体積のインパルシヴな膨張に起因する音波がコヒーレントに発生する事、(3)励起直後の反射スペクトルに、相転移発現の初期状態の生成に起因する新たな変化が観測される事が明らかとなった。 2)転移温度(81K)以上の温度に保持した中性相のTTF-CAの光励起による中性→イオン性相転移の動力学を研究した。800nmでの電荷移動遷移励起によって、イオン性→中性相転移と同程度の効率で相転移が発現し、その時間応答も同様な結果であった。 3)TTF-CAと同様な擬1次元系であり、共有的結合性のポリジアセチレンの光重合過程を研究した。TCDUと略記されるジアセチレン結晶の光重合が、モノマー結晶における分子配列に支配されて、選択的に異なる重合構造(AおよびB相)へ重合する事を明らかにした。また、重合相の熱相転移の研究を行い、A相のポリジアセチレンは熱誘起構造相転移を示すが、B相結晶は温度誘起の相転移は示さない事が明らかとなった。
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