研究課題/領域番号 |
11215207
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
酒井 治 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60005957)
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研究分担者 |
竹ヶ原 克彦 弘前大学, 理工学部, 教授 (80133924)
岡部 豊 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60125515)
椎名 亮輔 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30326011)
梅原 雅捷 東京都立大学, 無機材質研究所, 主任研究官
高橋 正雄 神奈川工科大学, 一般教育, 教授 (00163288)
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キーワード | マグネテックポーラロン / 低濃度キャリヤー / 光誘起low-spin high-spin転移 / モンテカルロシュミレーション / 格子緩和 / incubation time / 核生成 / ピン止め |
研究概要 |
磁性半導体に光を照射してキャリヤーを生成することにより強磁性が発生する。このような低濃度キャリヤー系では、局在スピンの強磁性クラスターが形成されるとその上にキャリヤーは局在する傾向を持つ。これによるキャリヤースピン分極の増加はさらに強磁性クラスターの安定性を強め、いわゆる磁気ポーラロンの形成が期待される。第一のテーマとして、この磁気ポーラロンについてモンテカルロ法や解析的手法などにより研究を行った。化学ドープの場合の自発磁化は、温度上昇にたいし低温から減少を開始し、キュリー温度で急激に消失する。この様子は低濃度キャリヤー磁性半導体の磁化の温度依存性を再現することを示した。また、光励起された励起子の緩和に際しトラップの効果と、磁化の揺らぎを取り入れる理論形式を発展させた。 第二のテーマについては光誘起low-spin high-spin転移を調べた。ある種の有機化合物で低温でスピンの消失した状態(low-spin状態)に光をあて続けるとスピンの発生した状態(high-spin状態)に相転移的に転移する。この時、照射強度に臨界値のあること、転移発生に時間的遅れ(incubation time)のあること、終段に階段状の急激な転移の生じること等が特徴である。格子緩和の速さが量子力学的遷移因子をとうして周囲のイオンのスピン状態に依存し、集団的転移の生じる可能性が指摘されていた。しかし、終段の階段状の急激な転移については、その原因が解明されていなかった。時間、空間的な揺らぎの効果を見るため、モンテカルロ法により、転移の核生成課程を調べた。実験に見られる階段状の不連続な変化の再現には、体積膨張によるドメイン成長の抑制と、体積膨張にたいするピン止めが外れる何らかの機構を取りれる必要のあることを示唆した。
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