研究課題/領域番号 |
11216201
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久我 隆弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60195419)
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研究分担者 |
上妻 幹旺 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (10302837)
平野 琢也 学習院大学, 理学部, 助教授 (00251330)
佐々田 博之 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30146576)
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キーワード | レーザー冷却 / ボーズアインシュタイン凝縮 / 原子波干渉計 / コヒーレント原子波光学 / 分散イメージング / 非破壊測定 / rf放電 / 集団励起ヘリウム |
研究概要 |
本年度の実績は以下の通りである。 (東大グループ)ボース凝縮する原子数を増大するために蒸発冷却過程の最適化を試みた。シミュレーションによると、蒸発冷却の最終段階でrf周波数を速やかに掃引することで原子数を一桁ほど増加させることができる。これを確認する意味で、rf周波数を自在に変化させることができる発振器を開発した。計算で予想される周波数掃引を試みたが、予想とは異なり画期的な改善は見られなかった。現在は、rf周波数掃引と同時に磁気トラップ形状も変化させることでBEC原子数を増大させることを目指している。 (慶応大グループ)準安定ヘリウム(He^*)のBECはすでに2グループで達成されている。彼らを含め世界いずれのグループも高真空槽にヘリウムを噴出し直流放電で励起してHe^*を生成している。このため原子の初速度が大きくなり、巨大なゼーマン減速器が必要となり、効率も悪い。そこで低速のHe^*生成法を開発するために予備実験を行った。ガラスデュワーに液体ヘリウムを貯め減圧して超流動状態(液温約1.3K)にする。液面上方のコイルに50MHzのrfを印加し放電させる。この放電プラズマ中をHe^*と共鳴する赤外レーザー光を透過させ吸収スペクトルを観測する。スペクトルの線幅からHe^*の並進温度は約20Kであることがわかった。 (学習院大グループ)BEC生成装置に用いる冷却水の温度安定化、磁気トラップ用コイルの改良等を行った結果、BEC生成確率が100%となり、原子数や温度の再現性も飛躍的に向上した。分散イメージング用の位相版をイオンビームスパッタ装置を用いて自作し、BECを非破壊に精度良く測定できるようになった。空間的にほぼ一様な非共鳴光をBECに照射すると、集団励起がおこることを見出した。振動の周波数は、四重極振動の場合の理論値と良く一致し、減衰に温度依存性があることを確かめた。非共鳴光の離調や時間幅に対する振幅の依存性を明らかにした。この他、蒸発冷却の過程で温度や密度がどのように変化するか、RF周波数の掃引法に対するBECの原子数依存性を調べたところ、掃引速度に対する原子数の敏感な依存性を見出すことはできなかった。
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