原子光学(レーザー冷却の技術的応用への研究)

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11216202
• 研究機関: 電気通信大学
• 研究代表者: 清水 富士夫 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (00011156)
• 研究分担者: 中川 賢一 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助教授 (90217670) ; 清水 和子 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30017446) ; 盛永 篤郎 東京理科大学, 理工学部, 教授 (90246687) ; 森永 実 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 助手 (60230140)
• キーワード: レーザー冷却 / ボーズ凝縮 / 原子干渉計 / ナトリウム原子 / カルシウム原子 / 量子反射 / リチウム原子線 / 原子光学

研究概要

原子光学の新しい展開に向けて(1)より輝度の高い原子線源の開発、(2)原子干渉計に関する研究、(3)電場制御素子、および反射型原子光学素子開発へ向けての研究を行った。(1)では、中川(電通大)らはコヒーレント原子線源を作る目的でルビジウム原子ボーズ凝縮生成に向けて後一歩のところまで到達した。森永(電通大)はナトリウム原子のボーズ凝縮装置の設計製作に着手した。盛永(理科大)は原子干渉計に用いるナトリウム原子線の輝度向上を目指して磁気光学とラップの改良を行い3x10^(11)個のナトリウム原子のトラップに成功した。また、清水(和、電通大)らは光散乱力とゼーマン効果を組み合わせた原子加速装置で高輝度の低速リチウム原子線を開発した。(2)では中川は重力測定のためのルビジウム原子干渉計の製作に着手した。盛永はマッハツェンダー型カルシウム原子干渉計において励起状態にある2つのアームで磁気量子状態が異なる複合型原子干渉計を成功させた。また、誘導ラマン効果を用いた時間軸多重反射ナトリウム原子干渉計において100を越えるフィネスの干渉縞を得ることに成功した。(3)では清水(和)らは静電場を使った原子凸レンズの製作に成功した。清水(富)らは窒化シリコン薄膜ホログラムに電極を蒸着して実時間で原子パターンの制御をすることに成功した。また、固体表面でのコヒーレントな原子波の反射現象である量子反射の観測、定量的な反射率測定に初めて成功した。これは、一般的な反射型原子光学素子の開発に道を開くものである。

研究成果

• [文献書誌] Y.Fukuyama,H.Kanou,V.I.Balykin,K.Shimizu: "Bright Atomic Beam by a Temporal Zeeman Acceleration"Applied Physics B. 70巻4号. 561-565 (2000)
• [文献書誌] H.R.Noh,K.Shimizu,F.Shimizu: "Imaging of an Atomic Beam with Electric Lenses"Physical Review A. 61巻4号. 041601-1-4 (2000)
• [文献書誌] J.Fujita,S.Mitake,F.Shimizu: "Interferometric modulation of an atomic Beam by an Electric Field : A Phase Hologram for Atoms"Physical Review Letters. 84巻18号. 4027-4030 (2000)
• [文献書誌] F.Shimizu,S.Mitake,J.Fujita: "Real time interferometric manipulation of a neutral atomic beam by electric field"Canadian Journal of Physics. 78巻. 529-535 (2000)
• [文献書誌] F.Shimizu: "Specular Reflection of Very Slow Metastable Neon Atoms from a Solid Surface"Physical Review Letters. 86巻6号. 987-990 (2001)
• [文献書誌] F.Shimizu (共著): "Atom Holography in Advances in Atomic, Molecular and Optical Physics 42"Academic Press. 21 (2000)