研究概要 |
活性汚泥から単離したBurkhoderia cepacia D1を用い酪酸及び吉草酸の単一及び混合炭素源を与えてポリ(3-ヒドロキシブチレート)[P(3HB)]及びその3-ヒドロキシバリレートとの共重合体[P(3HB-co-3HV)]を生合成した。共重合組成は吉草酸濃度の増加と共に0-90mol%3HVへと増大した。得られた共重合体の組成は単一ではなくいくつかの異なる組成をもつ共重合体の混合物であることが分かり、分別法でそれぞれを単離することができた。共重合体の融点は40mol%3HV付近を谷とする共融曲線を示した。 P(3HB)及びその共重合体に疎水性のメチルメタクリレート(MMA)及び親水性の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)やアクリル酸(AAc)を放射線グラフト及び化学グラフトし、これらの重合機構を解明するすると共に耐熱性や力学特性の改善を図ることができた。疎水性モノマーをグラフトすると生分解性が低下するが、親水性モノマーでは生分解性が著しく向上することが分かった。この効果はAAcの方がHEMAより顕著であった。 これらの微生物ポリエステルは不純物を含まず、結晶化の観察には適している。P(3HB),P(3HB-co-7mol% 3HV),及びP(3HB-co-92mol% 3HV)と4-ヒドロキシブチレートとの共重合体P(3HB-co-7mol% 4HB)について融点直下での乾熱処理を行った。P(3HB)及び7mol%3HV試料は熱処理温度の上昇と共に50-200Aまでの広範囲の結晶厚化し共結晶化を示したが、一方92mol%3HVや7mol%4HBは70-110Aまでの不十分な厚化しか示さず、少量成分が主成分結晶中に入れないことを示した。これら微生物ポリエステルのスチレングラフト試料は熱処理による結晶厚化をほとんど示さなくなり、グラフトの導入によって結晶厚化が著しく困難になることが分かった。
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