研究概要 |
活性汚泥から単離したBurkhoderia ceoacia D1やDelftia acidovoransを用い,酪酸に吉草酸(VA)やγ-ブチロラクトン(γ-BL)の単一及び混合炭素源を与えてポリ(3-ヒドロキシブチレート)[P(3HB)]の3-ヒドロキシバリレート3HV)との共重合体P(3HB-co-3HV)や4-ヒドロキシブチレート(4HB)との共重合体P3HB-co-4HB)をそれぞれ生合成した。炭素源内のVAやγ-BL濃度の増加と共に共重合体内の3HVや4HB含有量が増加した。P(3HB-co-3HV)の融点は約40%3HVを谷とする共融曲線を示した。P(3HB)及びその共重合体に疎水性(例: MMA)及び親水性モノマー(例:アクリル酸)を放射線グラフト重合すると前者では酵素分解速度が遅くなり、後者では速まることが分かった。MMAやスチレンなどのグラフトは結晶化妨害効果が小さいが、酢酸ビニールグラフトは阻害効果が大きくなり、球晶成長速度は相溶性に左右されることが分った。熱処理による結晶厚化もグラフトの存在によって著しく阻害された。グラフトによって耐熱性や力学特生の改善なども図られた。P(3HB-co-3HV)ではP(3HB)結晶内での共結晶化が見られたがP(3HV)結晶の共結晶化は確認されなかった。P(3HB-co-4HB)では全く共結晶化が見られず、共重合化によって結晶化度が著しく低トした。P(3HB-co-4HB)の単結晶を作成し、酵素分解やアミン分解前後の結晶厚、融点及び分子量を調べた。従来、結晶の側面から分解が進むとされていたが、本研究によって結晶表面の折畳み鎖も切断されることが分った。P(3HB)結晶には4HB成分が2〜3%は含まれ欠陥を形成していることが推定された。最後に実用化に最も近いと言われているポリ乳酸やビオノーレの耐熱性向上のために放射線照射架橋を施し、ガラス転移温度以上の形状安定性と融点以上の不融化や溶媒への不溶化を実現した。
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