1 Marinobactersp.由来のP(3HB)分解酵素の構造と性質 静岡県の相模湾1165mの海底から単離されたP(3HB)分解菌Marinobacter sp.NK-1の培養上清から、P(3HB)分解酵素をカラムクロマトグラフィーにより電気泳動的均一に精製した。本酵素の速度定数(ks)は、19±2.0(μmol/h/cm2)であり、一方、吸着平衡定数(K)は0.2±0.02mL/μgであった。このことから、本酵素は現在までに知られているバクテリア由来のP(3HB)分解酵素の内、P(3HB)に対して最も吸着親和性が低いことが明らかとなった。 2 真菌Penicillium funiculosum由来のP(3HB)分解酵素の基質結合メカニズム P.funiculosum P(3HB)分解酵素の各種ポリマー(ポリプロピレン、P(3HB)、P(2HP)、Avicel.starch)への吸着特異性を調べた結果、P.funiculosum P(3HB)分解酵素は、これら全てのポリマーに吸着することがわかった。このことは、バクテリア由来のP(3HB)分解酵素が、そのSBDの作用によりポリエステルに特異的に吸着するのとは対照的である。以上より、基質への吸着力が弱くまた吸着特異性が低いP.funiculosum P(3HB)分解酵素は、バクテリアSBD-ポリエステル間とは異なる機構により、基質吸着することが示唆された。
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