研究概要 |
(1)1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールをジオール成分とするポリエステルの合成と生分解性 D-グルコースから容易に得られる1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール(DAG)、およびその立体異性体の1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール(DAM)や1,4:3,6-ジアンヒドロ-L-イジトールと、種々の脂肪族ジカルボン酸二塩化物との重縮合により、対応するポリエステルを合成した。これらのポリエステルについて、活性汚泥中での分解、土中埋没試験および酵素分解試験により、その生分解性を評価した。活性汚泥処理では、結晶性のポリエステルを除いて、いずれのポリエステルも分解した。BOD測定によれば、スベリン酸やアゼライン酸、セバシン酸単位を含むポリエステルの分解が顕著であった。1とセバシン酸単位とからなるポリエステルは主として糸状菌によって分解されることを確かめた。 (2)フラン環を主鎖に含むポリエステルの合成と生分解性 フルフラール誘導体から1,1-ビス(5-(メトキシカルボニル)-2-フリル)エタン(BMF)を合成し、チタンイソプロポキシド触媒の存在下でDAGまたはDAMと重縮合させて対応するポリエステルを合成した。また、ジオール成分にはDAGを用い、ジカルボン酸成分としてBMFと脂肪族ジカルボン酸ジメチルとを併用して、コポリエステルも合成した。酵素分解試験および土中埋没試験によれば、これらコポリエステルのうちではセバシン酸単位を含むものが比較的高い生分解性を示した。土中での埋没試験と電子顕微鏡観察の結果から、BMFを含むコポリエステルは主に放線菌によって分解されることがわかった。
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