研究概要 |
(1)1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトールをジオール成分とするポリエステルカルボナートの合成 1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトールとセバシン酸ジフェニルおよび炭酸ジフェニルとを酢酸亜鉛を触媒に用いて190℃で重縮合させ、種々の組成のポリエステルカルボナートを合成した。いずれも数平均分子量は1万以上であり、カルボナート含量が十数モル%以下のものは半結晶性であったが、それ以外のものは非晶性であった。ガラス転移点は、ホモポリエステルの5℃からホモポリカルボナートの166℃まで、カルボナート含量の増加とともに上昇した。熱分解開始温度は、ホモポリエステルの386℃からホモポリカルボナートの283℃まで、カルボナート含量の増加とともに低下した。 (2)ポリエステルカルボナートの生分解性 土中埋没試験、活性汚泥中での分解試験、酵素分解試験により、上述のポリエステルカルボナートの生分解性を評価した。活性汚泥中では、カルボナート含量が7〜26%含むポリエステルカルボナートの方がホモポリエステルよりも高い分解性を示した。カルボナート含量が50%以上の試料では、ほとんど分解が認められなかった。土中埋没試験においても、活性汚泥中での分解試験の結果とよく似た結果が得られた。回収フイルムの走査電子顕微鏡観察により、放線菌と糸状菌が分解に関与していることを認めた。酵素分解においても、カルボナート含量が低い試料の方がホモポリエステルよりも高い分解性を示した。 以上の結果から、糖質を活用した新規生分解性ポリエステルカルボナートの合成の見通しが立った。
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