研究概要 |
1)1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールを含むコポリカーボネートの合成 1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-グルシトール(DAG)あるいは1,4:3,6-ジアンヒドロ-D-マンニトール(DAM)のビス(フェノキシカルボニル)誘導体と4種のα,ω-アルカンジオールとを塊状180℃で重縮合させて対応するポリカーボネートを合成した。また、DAGあるいはDAMのビス(4-ニトロフェノキシカルボニル)化合物とα,ω-アルカンジオールとを塩基の存在下、スルホラン中60℃で重縮合させて対応するポリカーボネートを合成した。生成物の^<13>CNMR解析により、前者の方法では反応中にスクランブル反応が起こり、糖ジオール単位とアルカンジオール単位とがほぼランダムに配列したコポリカーボネートが生成するのに対して、後者の方法ではスクランブリング反応が完全に抑制されて、両単位が交互に配列した構造からなるコポリカーボネートが生成することが分かった。 2)1,4:3,6-ジアンヒドロヘキシトールを含むコポリカーボネートの生分解性 上記のコポリカーボネートの生分解性を土中埋没試験と酵素分解試験により調べた。土中埋没試験では、DAG系列のコポリカーボネートの方が対応するDAM系列のコポリカーボネートよりも分解性が大きかった。また、いずれの系列においても、アルカンジオール単位のメチレン鎖長が4のものはメチレン鎖長が6以上のものに比べて著しく分解性が低かった。DAG系列ではランダム構造の試料と交互構造の試料とで分解性に顕著な差異はなかったが、DAM系列ではランダム構造の試料よりも交互構造の試料の方が分解性が大きい傾向が認められた。両系列とも交互構造の試料の方が高い酵素分解性を示した。 これらの結果からみて、糖質を活用して分解性の種々異なる生分解性ポリカーボネートを合成できる見通しが立ったといえる。
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