微好気性環境でのポリエステルを分解し、かつ脱窒を行う細菌を数種類河川、湖、海から単離した。これらの細菌から細胞外分解酵素の単離とその遺伝子のクロマニングを試みたが成功しなかった。また、金魚をポリエステル存在下で飼育すると、水中の窒素化合物の濃度が実際に減少することを見出したもこれらの結果はポリエステルを分解し、同時に脱窒を行う細菌が自然界で重要な働きをしている可能性を示唆した。一方R.eutropha H16の細胞内PHB分解酵素(PhaZ1)の遺伝子をクローニングし、その遣伝子産物の性質を検討した。PhaZ1は新規の配列を持つ47 Kdaの分子質量を持っていた。PhaZ1量はPHBの蓄積と比例して増加した。この酵素はPHB封入体上にのみ結合して存在しており、結晶PHBは分解できず、非晶形のPHBのみを分解した。さらに数種の細胞内の3-ヒドロキシ酪酸(3HB)オリゴマーヒドロラーゼ遺伝子をクローニングし、その産物の性質を調べた。そのうちの一つR.eutropha H16のPhaZ2(78 kDa)は新規の加水分解酵素であり、3HBオリゴマー分解活性とPHB分解活性を持っていた。 PhaZ2は細胞質とPHB封入体の両画分に分布し、その総量はPHBの葺積量に比例した。 PhaZ1とPhaZ2を共に欠く変異株は野生株に比べて多くのPHBを蓄積した。これらの結果からPhaZ1とPhaZ2が共同して細胞内のPHBを効率的に分解していることが判った。
|