本年度は、1)微量金属の存在形態を推測するための新規な手法の提案、2)超音波照射によりカルシウムを石炭に高分散担持させることによる燃焼時の硫黄発生の抑制を試みた。 1)量金属の存在形態の決定するための一つの方法として、酸による石炭の逐次的浸出法がある。この方法では、各段階での浸出率の違いから、微量金属の存在形態を推測している。本研究では、石炭を逐次的に酸で浸出するのではなく、石炭のみならず低温灰化灰、高温灰化灰を硝酸、塩酸で浸出し、浸出率の違いから存在形態を推測することを試みた。その結果、各元素の浸出量が、試料あるいは用いた酸の種類によって異なり、試料と酸との組み合わせを変えることにより、微量金属の存在形態を明らかにできた。 2)水和処理によりカルシウムを石炭に担持するよりも、超音波を照射することにより、カルシウムを微分散担持させた方が脱硫効率が向上することを昨年度までに見出した。しかしながら、超音波照射出力はそれほど強くなかっため、本年度はより強力な超音波を照射することで、カルシウムを石炭に高分散担持させ、脱硫効率を向上させることを目指した。強力な超音波照射下で、石炭と石灰の懸濁水溶液中を接触させた結果、石炭表面が改質されたため、カルシウムが石炭粒子表面に均一に担持された。この均一に担持されたカルシウムが、燃焼時に発生した硫苗を効率よく捕捉し、硫黄発生を効率よく制御できることがわかった。
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