本研究では、高度な選炭法開発を目的として、メタノール処理を伴う選炭法を検討する。本年度は、6種の石炭(パシール炭(Pasir Coal)、楊村炭(Yang-Somg Coal)、大同炭(Datung Coal)、紅岩炭(Hong-Yie Coal)、三池墳炭(San-zu-Pa Coal)、魚日堡炭(I-Tem-Pou Coal))を用いて種々の条件下でメタノール処理を行い、処理炭の粉砕特性、圧壊強度を調べるとともに、SEM観察を行った。 実験に用いたいずれの炭種においても、メタノール処理することにより圧縮破壊強度の低下、粉砕性の向上が認められた。楊村炭の場合、処理炭の粉砕特性はメタノール処理時間に依存し、処理時間が長いほど、粉砕されやすくなった。メタノール処理の効果は炭種に依存し、大同炭の場合、粉砕特性は処理時間にほとんど影響されなかった。また、粉砕時間を変えた実験から、未処理炭では表面粉砕が、処理炭では体積粉砕が進行することが示唆された。SEM観察から処理炭には多くの亀裂が生じていることが分かり、メタノール処理によって粉砕性が向上した原因の一つは、処理によって石炭内部に亀裂が生じたことによるものと考えられる。
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