研究課題/領域番号 |
11218206
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
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研究分担者 |
中川 浩行 京都大学, 工学研究科, 助手 (40263115)
前 一廣 京都大学, 工学研究科, 教授 (70192325)
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キーワード | 石炭の前処理 / 石炭の高温抽出 / 褐炭の脱水 / クリーンコール / 事前脱灰 / 事前脱硫 |
研究概要 |
石炭を水分、灰分、硫黄を含まないクリーンな液体燃料に変換できれば、今後、石炭を貴重な資源として積極的に利用していくことが可能になる。この観点から、本研究では、石炭の凝集構造を溶剤と熱エネルギーで緩和させ、できるだけ穏和な条件で、石炭中の溶解抽出成分のみを大量に取り出して低温可溶・流体化を図ると同時に、ほとんど灰分、硫黄を含まないクリーン燃料への変換する方法として以下の2項目について検討した。 (1)石炭のskimmingによるクリーン液体燃料の製造 流通式高温抽出装置を用いて、タール工業で精製されるカルボール油中、石炭を〜350℃程度まで昇温し抽出した結果、褐炭〜瀝青炭の幅広い炭種で60-80%もの溶解液を得ることに成功した。また、溶解液の灰分分析、を実施した結果、得られた溶解液中の灰分は0-4wt%と非常に少ないことが明らかになった。さらに、抽出時に灰分はいったん石炭粒子外へ流出し、その後、大粒径に再凝集していることが明らかになった。これは、今後、抽出残渣も灰分を含まないクリーンコールにできることを示唆している。 一方、硫黄の抽出時の挙動をCAPTO法を用いて検討した結果、Pyrite、Thiophenic sulfurのほとんどが残渣に残存もしくは抽出時にSO2に反応除去されるため、溶解液は非常にクリーンな液であることがわかった。以上、本法は、事前脱灰・脱硫法としても優れていることが明らかになった。 (2)褐炭の新規加圧脱水法の開発 前年度、提案した新規脱水法の低温化を図った。この結果、無極性溶剤中で150℃という低温で、60%も水分を含む豪州褐炭を150℃でテトラリン中、処理することで、液状水の状態で水分を除去でき2%以下のの含水率まで低下させ得ることを示した。また、提案法を既往のプロセスと比較した結果、脱水率、操作条件、エネルギー消費量とも優れていることが明らかになった。 今後、以上の結果を踏まえて、溶剤の設計、抽出条件に加えて、溶解液の反応性についても検討していく予定である。
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