本研究は、石炭スラリー製造過程において石炭スラリーに脱硫・脱ハロゲン、高度脱灰などの機能を付加させ、燃焼サイドでは新たな脱硫・脱ハロゲン装置を設置しないでも容易に炉内脱硫および煙道脱硫、ならびに脱ハロゲンを実現できる新しい概念の燃料の開発することを目的に実施している。硫黄含有率の大きく異なる3種類の中国産石炭(YZHS(5.7wt%)、DT炭(1.7wt%)、YZLS炭(0.6wt%))に石灰石粒子を物理的に混合(S/Ca=1〜3)した混合燃料について燃焼実験を行い、石灰石の脱硫率の測定および脱硫反応に及ぼす石炭中の鉱物粒子の影響などを、燃焼灰のCCSEM分析から評価した。DTFによる燃焼実験から、石灰石を添加しない場合は、乾きガス基準のSO_2濃度は、硫黄含有率の高いYZHS炭、DT炭、YZLS炭の順に1200ppm、540ppm、160ppmとなったが、Ca/S=2(ただし、YZHSはCa/S=1)の条件で石灰石を石炭に添加した実験(反応時間1.8秒)では、YZHS炭が89%、YZLS炭が76%、DT炭が51%の脱硫率が達成され、簡易脱硫法として石灰石を石炭に添加する方法が有効であることが明らかになった。石炭の種類によって脱硫率が異なる原因をCCSEMによって調べたところ、脱硫率の低いDT炭の場合は、添加した石灰石粒子が石炭中のExcludeのカオリナイト粒子と短時間に反応してCa Al Silicateに変化してしまい、脱硫剤として機能しなくなってしまうことが明らかになった。添加したカルシウムの有効利用率は、YZHS、DT、YZLSの順に、70%、40%および30%となった。今後、石灰石粒子の粒径分布や反応温度を変えた実験を行い、DT炭やYZLS炭の脱硫率を向上させる燃焼条件を明らかにする予定である。
|