研究概要 |
本実験では、全長は1,800mm、反応管内径は50mmφで、SiCを発熱体としたドロップチューブ電気炉(最高温度1500℃)を使用した。石炭およびCWMは炉上部からDTFに供給した。実験には、3種類の中国炭(山東省YZHS炭、YZLS炭および山西省DT炭)を使用した。硫黄含有率はYZHS炭が5.7wt%、DT炭(1.7wt%)、YZLS炭(0.6%)である。CCSEM分析から、DT炭は10μm以下の鉱物粒子が約80%を占め、主に石英、カオリナイトおよびパイライト粒子からなり、YZHS炭は、10〜100μmの比較的大きな鉱物粒子が多く、パイライト、石膏およびUnknown(Si-Al-Caの混合物)などの鉱物粒子からなっている。脱硫剤として、中国産石灰石(平均粒径10μm)および膨潤させた酢酸カルシウムをCa/S=1〜3の割合で添加した。膨潤させた酢酸カルシウム粉末は、一旦水に溶かし、含浸法で石炭に添加した。 上部電気炉温度1300℃、下部電気炉温度900℃における脱硫率は、微粉の石灰石粒子を石炭に添加することによって、56〜84%の脱硫率を達成することができた。しかしながら、DT炭は添加した石灰石粒子が石炭中のExcludeのカオリナイト粒子と短時間に反応してCa Al Silicateに変化するために、脱硫性能が低下した。この解決策として、岡山大学笹岡先生が開発した高機能性石灰石脱硫剤を使用したところ、脱硫率が低かったDT炭に対しても、Ca/S=1.9で85%の脱硫率が達成された。石灰石および酢酸カルシウムを添加した石炭の脱塩素率を測定した結果、85〜95%除去できることが明らかになった。 一方、CWM燃焼(40wt%)の結果では、1200℃および1400℃の一定温度の燃焼条件で確かめたところ、酢酸カルシウムをCWMに混合することによって、脱硫率が30%以上高くなることが明らかになった。酢酸カルシウムは水溶性のため、CWMに添加することは容易であり、実現可能な方法である。
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