研究分担者 |
向川 均 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20261349)
堀之内 武 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (50314266)
廣田 勇 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025485)
牛丸 真司 沼津高等専門学校, 電子制御工学科, 助教授 (70249796)
石岡 圭一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (90292804)
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研究概要 |
各種大気力学モデルを用いて,対流圏-成層圏領域に卓越する大規模大気波動の非線形な動態とこれらに伴う物質輸送過程を調べた.また,モデルによる長期数値積分データと観測データを総合的に解析することにより,波動の動態・物質輸送の季節依存性や年々変動,経年変化の特性を明らかにした. 1.モデル開発: 効率的な球面浅水スペクトルモデルを開発した.回転球面浅水系での減衰性乱流実験を高解像度で行い,赤道域に自発的に西向き又は東向きジェットが形成されることを見出した.後者はこれまで認識されていなかった新しい結果である. 2.プラネタリー波の力学: 成層圏循環の季節内変動および年々の変動傾向を把握するために,3次元モデル実験およびNCEP再解析データの解析を行なった.季節進行がプラネタリー波強制の大きさに依存していることを定量的に評価した. 3.傾圧不安定波の力学: 山岳のない大気大循環モデルで,理想化された海陸分布とSST分布を仮定して長時間積分を行うことにより,熱帯におけるSST分布が,対流圏上層における亜熱帯ジェットの東西非一様性を形成する最も重要な熱的強制力であることを明らかにした. 4.中間規模波の力学: 中間規模波動は中緯度対流圏界面付近に捕捉された中立的な波動と考えられるが,放射,粘性等の減衰から振幅を維持するため増幅機構が存在するはずである.この点に着目し,wave activityフラックス解析を行なった. 5.赤道波の力学: 大気大循環モデルにおける低緯度の波動による輸送を研究する上で基礎となる波動そのもの特性が,様々なモデルの間でどう異なるかを調べた.このため各国の代表的な大気大循環モデルの比較を行い,低緯度の鉛直伝播性波動は積雲パラメタリゼーションに大きく左右されることを示した.
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