研究課題/領域番号 |
11219204
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 久徳 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80112100)
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研究分担者 |
三好 勉信 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20243884)
川平 浩二 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (30025457)
廣岡 俊彦 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90253393)
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キーワード | 成層圏オゾン / オゾンホール / 大気大循環 / 気候 / 大気大循環モデル / 北極振動 |
研究概要 |
本研究は、春季南極域のオゾンホールの拡大、春季北極域における大規模オゾン減少の出現という現状を受け、オゾンホール形成と地球大気の全球的な循環、すなわち大気大循環との関わりを明らかにすることを目的とする。 本年度は、簡略化したオゾン光化学を含む九州大学中層大気大循環モデルを用い、南北両極にオゾンホールを形成する「オゾン減少実験」と、オゾンホールを形成しない「標準実験」をそれぞれ積分期間50年間にわたって行い、両実験を統計的に比較することにより、オゾンホールの成層圏循環および対流圏循環への影響を調べた。その結果、オゾン減少実験では、生じたオゾンホール期間の長短にともなって、春季における周極渦の強度や持続期間といった成層圏循環の状況に、標準実験よりも大きな年々変動が生じることがわかった。さらに、その年々変動の空間構造は、極域を中心とした高緯度と中低緯度の間の環状の変動パターンを示し、成層圏から対流圏にまで及んでいた。これは、観測データに見られる北極振動もしくは南極振動と呼ばれる気候変動パターンと類似のものであり、オゾンホールと大気大循環場の相互作用が、これら観測される振動の形成に関与している可能性を示唆するものである。 今後は、対流圏循環の変動の時間・空間構造を詳細に解析し、その成層圏循環との関係を比較検討することにより、オゾンホールと大気大循環場の相互作用のメカニズムを明らかにする予定である。また、既存の大循環モデルを改良し、モデル精度の向上も計っていく予定である。
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