研究概要 |
1.CexLa1-xB6のIV相について1軸圧下(P‖[001])の磁化測定を行った結果、IV相内で顕著な磁気異方性が生じること、またIV相の転移温度が磁場とともに上昇することを発見した。これらの結果からIV相の秩序変数がΓ5型の磁気八重極である可能性が高いことを示した。 2.URu2Si2の低温秩序相における縦磁場中ミュオンスピン緩和スペクトルの詳細を初めて明らかにした。また,高圧下NMR測定(姫工大との共同研究)から,高圧領域で強い内部磁場を感じるSiサイトが存在することを発見した。これらの測定結果と高圧下中性子散乱の結果を総合し,中性子で観測されるこの系の弱い磁性が,少なくとも0.3GPa以上の高圧下においては静的磁気秩序相と非磁気的な未知秩序相との2相共存状態にあること,しかし一方,常圧状態は同様ではなく準静的な磁気揺らぎが支配的である可能性を示した。 3.四重極秩序の可能性が指摘されている立方晶の非クラマース系PrPd20Ge6について極低温精密磁化測定を行い,9Tまでの低温磁化の挙動を初めて明らかにした.弾性定数・比熱測定より予想されている四重極秩序は,磁化で見る限り最低温(〜100mK)まで確認出来なかった。また,弱磁場磁化は最低温まで鋭い上昇を続けることを明らかにし,2種類あるPrサイトのうち少なくともひとつにおいては基底結晶場準位が純粋な四重極状態Γ3ではなく,スピン自由度をもつ多重項(おそらくΓ5)であることを示した。
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