研究分担者 |
長谷川 彰 新潟大学, 理学部, 教授 (40004329)
根本 祐一 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (10303174)
DONNI Andreas 新潟大学, 理学部, 助教授 (50292199)
家富 洋 新潟大学, 理学部, 助教授 (20168090)
草部 浩一 新潟大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (10262164)
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研究概要 |
希土類金属化合物の4f電子や遷移金属化合物の3d電子の最も著しい特徴は、軌道自由度が格子と結合ることにある。本研究では格子歪みが軌道自由度系の四重極子と結合することを利用し、超音波により弾性定数や吸収係数の測定を行い、軌道秩序と揺らぎのを解明し、4f電子系と3d電子系との相違点を明らかにする。本年度は特に、トップローディング型希釈冷凍機を定期的に稼働させ,極低温・強磁場下における超音波実験を進めた. (1)近藤物質Ce_xLa_<1-x>B_6(x=0.70,0.65,0.60)の超音波実験を20mKまで行い,詳しい磁気相を決定した.その結果x=0.70,0.65ではIV相が絶対零度まで安定であることを示した.比熱の実験結果と合わせて,x=0.60では0.50と同様に極低温低磁場領域では近藤非磁性基底状態が出現していることを提案した. (2)重い電子系化合物CeRu_2Si_2のメタ磁性の起源を探索するため,極低温強磁場下での超音波実験を行った.その結果メタ磁性転移点近傍では体積歪みに関係した超音波モードC_<11>,C_<33>の顕著な異常を見出し,それがCeイオンの価数転移に起因していることを提案した. (3)巨大磁気抵抗を示すマンガン酸化物La_<1-x>Sr_xMnO_3およびPr_<1-x>Ca_xMnO_3の超音波実験を行った.Eg軌道の揺らぎに起因した(C_<11>-C_<12>)/2モードの異常を見出し,ヤーンテラーエネルギーを決定した.また,C_<44>モードのソフト化と電荷揺らぎの関係について考察した. (4)約12T近傍でJz=0からJz=7へ準位交差を示すHoVO_4の超音波および熱膨張磁歪測定を行った.準位交差における磁化や磁歪,弾性定数の異常にはサイト間の四重極子相互作用が本質的に重要であることを示した. (5)Ce_3Pd_<20>Ge_6の超音波実験,熱膨張実験を行い,四重極子転移が強的であり構造相転移を伴うことを明らかにした.またPr_3Pd_<20>Ge_6でも四重極子転移の可能性がある結果を得た.
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