研究課題/領域番号 |
11220207
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研究種目 |
特定領域研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
秋光 純 青山学院大学, 理工学部, 教授 (80013522)
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研究分担者 |
廣田 和馬 東京大学, 物性研究所, 助教授 (90272012)
有馬 孝尚 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (90232066)
古川 信夫 青山学院大学, 理工学部, 助教授 (00238669)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 軌道縮退 / p電子 / f電子 / 超伝導 / 強磁性 / 軌道秩序 / 四重極 |
研究概要 |
本研究は、「軌道相転移の制御による新物質創製」を目的に掲げ、p電子、f電子に関する研究を遂行し、新しい物性をもたらす物質を開発し、p電子、f電子の織り成す多彩な物性を明らかにすることを試みた。 その中でも、MgB_2における超伝導の発見とその基礎的物性の解明は重要な成果である。この物質において、硼素の形成する特徴的な2次元平面が、超伝導発現に大きく寄与していること明らかにした。また、シグマ軌道、パイ軌道という性質の異なる電子軌道間で、超伝導状態において電荷の移動が存在し、常伝導状態の電荷分布とは異なることを明らかにした。さらに、硼素化合物において、硼素の形成する様々なネットワークに着目した新物質創製を試みた結果、Re-Bの二元素系においてRe_3B、Re_7B_3が、さらに、硼素が結晶中に存在することによって特殊な結晶構造が安定化されるW_7Re_<13>Bが、超伝導体であることを見出し、これら新物質の基礎物性を明らかにした。MgB_2については、大型単結晶の作成や単結晶試料による物性解明という点において解決できなかった問題があるが、新物質創製の先駆的な役割を果たすことができた。また、sp混成軌道によって共有結合した硼素が、物性を支配する要因となっているという極めて特殊な物質であると言え、この観点から本物質を眺めると、新しい物質創製の展開の可能性を示している。 一方、磁性元素を含まない化合物CaB_2C_2における強磁性を発見したが、この物質における試料依存性やFeの不純物の存在を完全に排除できていない状況にあった。しかし、更なる検証が必要ではあるが、詳細な結晶構造解析によって局所的な結晶の歪みと磁性とが関わっていることを示唆する結果を得た。 f電子系に関しては、CeB_6とその関連物質の得意な軌道秩序と物性を明らかにし、特にCeB_6のスピン磁気モーメントが、Ceサイト以外にも存在することを示唆する結果を得た。
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