研究概要 |
本プロジェクト分担課題、"複合機能化材料設計"では,それらを実現するための基礎的かつ先導研究分野として、(1)金属系センサ・アクチュエータ機能要素材料の設計と開発、(2)多層構造膜系材料の設計・開発、(3)複合機能・能動応答型コンポジットの設計・開発およびこれらの(4)材料特性解析、非破壊評価の4つのテーマに分類し、相互連携研究を進めてきた。本年度の成果を以下に示す。 (1)金属系機能性素材の創製については,液体急冷凝固線材・薄帯作成装置(単ロール)により、材料結晶構造や微細組織をメゾ〜ミクロンレベルまで多様に変化・制御して高性能化・多機能化を試みた.現在までに、結晶粒径10nm〜10μmの結晶形態、極微細組織制御が可能となり、線径0.03〜0.1mm、板厚30〜120μm,幅2〜20mm、長さ1mm〜50cm程度までの難加工性を含む各種金属系アクチュエータ・センサ要素材料の作成が可能になった。また、溶融急冷紡糸法により、高強度非晶質Al、Ti、Zr系極細繊維の製造にも成功している。 (2)感温型では、非線形応答TiNiCu,線形応答TiNiCoを開発、高温型では、TiNiPd, NiAlMn、さらに回復温度1000℃を超えるTaRu, NbRu合金の開発した。また、急冷FePt系、急冷CoNiGa系新磁性形状記憶合金、さらには希土類Terfenol-Dよりも加工延性を有する急冷FeGa系超磁歪材料開発に成功した。 (3)多元型MO-CVD法装置を設計・開発して、電極薄膜/イオン伝導薄膜/電極薄膜/圧電体/電極薄膜構造からなる複合機能型システム薄膜を作製してイオン伝導特性挙動の応力付加による感受性効果を確認した。 (4)感温型形状記憶合金収縮力を繊維強化に用いたコンポジット設計とその材料加工プロセス、さらには、磁性記憶合金の応力誘起型相変態と形状回復機能を生かした、損傷部磁気非破壊評価とその修復機能を有する"スマートコンポジット・ボード (Smart Composite Board)"を開発した。提案した磁性形状記憶合金を用いた復号機能化設計は,従来の非破壊検査法(超音波・熱・渦電流)などでは検出困難な複号材内部での層間剥離などの技術課題には有効性が期待される。 (5)アクチュエータ埋め込み型複合機能化形状記憶繊維TiNi/6061A l合金コンポジットの材料特性の理論予測に関しては、弾性論的複合則に基づくEshelby等価介在物法や有限要素法(FEM)により設計し、その強度向上効果を中心に解析して、実験結果との相関性を議論した。SMA繊維および母材の非線形変形挙動を取り入れた改良FEM解析結果と実験データは良い一致が見られた^<8)>。さらに、この複合材での破壊の起点特定とその進展挙動を、表面端部の4箇所に設置したアコーステイックエミッション(AE)センサへの欠陥放出音響弾性波検知時間・伝達時間のずれから非破壊的に予測した結果、ほぼ良い一致が見られ、その有効性を明らかにした。
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