研究課題/領域番号 |
11223203
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山崎 巌 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002111)
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研究分担者 |
西村 賢宣 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60218211)
太田 信廣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70113529)
住 斉 筑波大学, 物質工学系, 教授 (10134206)
佐藤 信一郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10262601)
秋本 誠志 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40250477)
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キーワード | 分子配列系光化学 / コヒーレント光化学 / 超分子 / フェムト秒蛍光分光 / 量子干渉 / 光合成反応中心 |
研究概要 |
本研究の目的は、人工的な超分子、生体系の光合成反応系など、反応分子が配列した分子配列系で起こるコヒーレント光化学過程、とくに励起子や電子の波動伝搬における量子状態の量子干渉効果(量子ビート、周期〜100fs)を調べ、コヒーレント光化学について実験的および理論的に確立する。この研究を通して量子干渉を応用して量子演算素子への展開を計る。本年度の実績は次のように要約される。 (1)分子配列系におけるコヒーレント反応の実証 前年度に2つのアントラセン環が積層したジチアアントラセンにおける励起子伝搬において、コヒーレント反応を特徴付ける量子ビートを世界ではじめて観測されたが、本年度は異なる3種のアントラセン二量体およびペリレン二量体(計画研究大須賀篤弘教授との共同研究)について同様な観測を試み、予測した通りに量子干渉ビートが観測され、コヒーレント光化学の概念をより明確にすることができた。またポルフィリンを構成要素とするデンドリマー(計画研究相田卓三教授との共同研究)において、特殊な相互作用機構の存在を明確にすることができた。 (2)マイケルソン干渉計による2パルス励起による量子ビートの観測 この装置は前年に製作され量子ビートの観測がなされたが、本年度はさらに改良を加えることにより、対象とする分子系を広げるとともに良好なS/Nをもって観測が可能となるようにしつつある。 (3)分子配列系のコヒーレント光化学の定式化と量子演算原理の構築 分子配列系のコヒーレント光化学(励起子伝搬)の機構を理論的に定式化することができた。これは今後の光化学における基本的な理論原理を与えるものとなる。また光合成反応中心における励起子伝搬と電子伝達について、決定的な機構理論が完成させることができた。最終年度にあたり研究成果報告書を印刷し関連研究者へ配付した。
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