研究課題/領域番号 |
11223204
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
相田 卓三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00167769)
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研究分担者 |
江 東林 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40302765)
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キーワード | デントリマー / ポルフィリン / 光捕集アンテナ / 分子内エネルギー移動 / 協同作用 / 光エネルギー変換 / 光励起エネルギー貯蔵 |
研究概要 |
本年度では、Convergent法を用いて、モルフォロジーの異なる一連のデンドリマーポルフィリンを合成し、分子内エネルギー移動に関するデンドリマー分子形態の影響を検討した。その結果、球状のデンドリマーポルフィリンでは、エネルギー移動効率は80%という高い値が見積もられた。これに対して、非球状のデンドリマーポルフィリンのエネルギー移動効率は極めて低く(10〜30%)、デンドリマーのモルフォロジーが分子内エネルギー移動プロセスに著しく影響していることが分かった。蛍光偏光解消実験から、サイズの大きな球状のデンドリマーポルフィリンでは、励起エネルギーは連接のデンドロンサッブユニットを高速移動し、コアヘの分子内エネルギー移動の確率を高めることが分かった。これに対して、非球状のデンドリマーポルフィリンはデンドロンが非連続的に配列しているため、デンドロン内の高速エネルギー移動が起こらず、結果的に、コアヘのエネルギー移動確率が低下した。即ち、球状のデンドリマーポルフィリンは、デンドリマー組織の協同作用により高い分子内エネルギー移動効率を与えることが分かった。 以上の知見を踏まえ、空間形態の異なるポリベンジルエーテルデンドリマーを分子設計し、発光特性を調べた。塩化メチレン中、これらはいずれも310nmを中心に発光するが、興味深いことに、それらの蛍光強度はデンドリマー組織の空間形態に著しく依存することが分かった。詳しい検討から、球状のデンドリマーが、励起エネルギーをある形態で比較的長時間分子内に貯蔵している可能性が示唆された。
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