1 メゾ-メゾ結合Cu(II)ポルフィリン2量体のアミニウムカチオンラジカルにょる酸化やDDQとSc(OTf)_2などの組み合わせによるメゾ-メゾ結合ポルフィリンの酸化反応により、二重縮環のポルフィリン2量体が合成できることを見いだした。得られた二重縮環ポルフィリンは、完全な平面構造で共役が広がっており、吸収スペクトルが低エネルギー側に大きくシフトすることがわかった。メゾ-メゾ結合ポルフィリンアレーから縮合ポルフィリンアレーへの変換を2量体、3量体、4量体、5量体、6量体、8量体、12量体で、いずれも良好な収率で行うことに成功した。6〜12量体の完全共役ポルフィリンアレーでは、その電子遷移吸収が赤外領域にまで達しており、中性であるにもかかわらず、Born-Oppenheimer近似を破る分子であることが判明した。 2 ストラップで架橋したメゾ-メゾ結合ポルフィリン2量体でストラップの長さを変化させることによるポルフィリン間の電子的相互作用の制御を検討した。実際、ストラップの長さが短くなると、その対称性の低下を反映して、吸収スペクトルが大きく変化する。メゾ-メゾ結合ポルフィリン2量体では、2つのSoret-bandしか観測されないのに対し、4つのSoret-bandが現れる。酸化電位もストラップの長さの減少にともない、系統的に低下することがわかった。
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