研究課題/領域番号 |
11224202
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
豊田 直樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50124607)
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研究分担者 |
佐々木 孝彦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20241565)
松井 広志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30275292)
野末 泰夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60125630)
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キーワード | 準二次元有機導体 / κ-(BEDT-TSF)_2GaCl_4 / 反強磁性 / スピンフロップ転移 / π-d相互作用 / 金属・非金属転移 |
研究概要 |
κ-(BEDT-TSF)_2FeCl_4は層状構造をもつ準二次元有機導体で、低温まで正常金属である。同じ結晶構造をもつκ-(BEDT-TSF)_2GaCl_4も同様の振る舞いを示すことから伝導π電子とFeのdスピン間の相関はほとんどないと考えられる。FeスピンはESRと磁化の結果から高スピン状態(S=5/2)をとり、後者からワイス温度θ=-1K程度の弱い反強磁性的相互作用をもっていることが分かっている。2K以下の磁気状態についてはD.Zhangらにより磁化が測定されており、1K以下0.7Tでスピンフロップ転移が観測されている。本研究では、ドナー分子の有機合成と電気的酸化法による単結晶κ-(BEDT-TSF)_2FeCl_4(0.11mg)の合成に成功し、その磁気トルクをT=0.4-4K,H<14.5Tで測定した。実験結果を一軸性を仮定した反強磁性の理論と比較することにより、磁化の容易軸をb軸とした反強磁性秩序が1K-0.7Kで生じ、スピンフロップ転移が1.3Tの磁場近傍で見られることを確かめた。結論として、このκ-(BEDT-TSF)_2FeCl_4塩では、2次元金属状態とFe3dスピンの磁気秩序が共存することを実証した。今後は、この成果をもとにλ-(BEDT-TSF)_2FeCl_4塩における反強磁性秩序によって誘起される金属・非金属転移・超伝導の逐次相転移との比較研究を行う。
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