研究課題/領域番号 |
11224206
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹田 和義 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10029548)
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研究分担者 |
井戸垣 俊強 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40038013)
日高 雅子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00264094)
河江 達也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30253503)
美藤 正樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60315108)
田中 彰則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80274512)
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キーワード | 有機強磁性体 / 複合スピン / 磁気物性 / 高圧 / 超低温 / 磁場 / 比熱 / 磁気測定 |
研究概要 |
純有機ラジカルのスピン系の多様な物性を高圧下・磁場下・超低温の複合環境下で追究し新しい磁気物性を見出すことが目的である。今年度の成果のうちから、加圧による一次元S=1スピン系のギャップーギャップレス制御、S=1/2有機スピンパイエルス系の不純物効果等3テーマについて重要な成果を得た。字数の関係上、加圧による一次元反強磁性交替鎖量子スピン系のギャップ制御の試みについてのみ述べる;量子スピン多体系におけるギャップーギャップレスや磁化プラトーの問題は、スピン波励起のようなハイゼンベルグ系のユニバーサリティでは片づけられない、新しい凝縮相や励起を示すことが一般的になりつつある。スピン値S=1の反強磁性系いわゆるハルデン系では、基底状態はVBSと言うsolidの状熊にあり、これと温度、磁場、異方性、鎖間相互作用などがどう係わっているかが精力的に研究究されている。最近、S=1一次元鎖内の相互作用強度が交互に繰り返している(a=J′/J)一次元交替鎖系でのスピンギャップや磁化プラトーが注目され、0<a<0.6ではダイマー相、a=0.6でギャップレス、a>0.6でハルデン相になると予想されている。今年度はa=0.6を持つと報告されている{Ni(333-tet)(mN_3)}_n](ClO4)_nを用いて、加圧による交替率制御をおこないつつ、帯磁率を測定した。加圧により一次元に特徴的な山は高温側に移りつつ高さも小さくなるのは、圧力により鎖内相互作用が大きくなっている証拠である。しかし最低温度域の帯磁率は、加圧により先ず上述したギャップレスの理論値より上昇し(2kbar)、次いで下降する。これは、交替率を変化させた場合の理論が予測するように加圧によって交替率が変化していることを示唆する。加圧による一軸性異方性の変化も考慮して定量的な解析を行っている。
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