研究分担者 |
井戸垣 俊弘 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40038013)
日高 雅子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00264094)
河江 達也 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30253503)
美藤 正樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (60315108)
田中 彰則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80274512)
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研究概要 |
本研究は、世界初の純有機強磁性体b-p-NPNN結晶の強磁性相互作用の生滅機構の解明に試みた手法(加圧による構造変化と分子軌道の重なりの制御)を一般的に有機磁性体(強磁性体、反強磁性体)に適応し新しいスピン物性とその生滅過程を追跡する目的で出発した。その研究過程で主に次の5つの研究課題について成果を上げてきた;(1)純有機強磁性体の加圧効果;b-p-NPPP, P-Cl-C6H4CH=N-TEMPO,2,5-DFPNN, NN'-dioxy-1,3,5,7-tetramethyl-2,6-diazaadamantane。(2)純有機弱強磁性体の加圧効果に見る磁気転移温度の上昇;TOV, p-NC.C6F4.CNSSN。(3)量子スピンギャップ系の不純物・磁場・加圧による3次元磁気秩序の誘起。(4)高圧下磁化測定システムの開発。(5)高圧下における鉄のバルク強磁性の消失と、Gd金属の磁化の圧力依存の研究等である。これらの高圧下に於ける研究経過の中で、特に(2)に関連して、CuBeクランプセル方式の圧力領域より更に高圧で、磁気転移温度が液体窒素以上になる可能性を見出した。この実現をめざして、研究費の大半の額を投入し、小型ダイアモンドアンビルセルとSQUID磁束計をくみあわせた、高圧下磁気測定システムを開発した。 特に、今年度の最大の成果は強磁性体の典型である鉄の磁性が9GPa以上の高圧で消失することを、本装置で初めて発見したことである。一方、最近では15-30 GPaの圧力領域で鉄が超伝導状態になることがが報告されており、合わせて今年度の日本物理学会(草津)のシンポジウムの発表に組み込まれる等の成果を上げている。
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