研究課題/領域番号 |
11224207
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
彌田 智一 東京都立大学, 工学研究科・応用化学専攻, 教授 (90168534)
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研究分担者 |
松下 未知雄 東京都立大学, 工学研究科・応用化学専攻, 助手 (80295477)
河合 是 東京都立大学, 工学研究科・応用化学専攻, 助教授 (00087298)
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キーワード | 共役組織化 / ビオローゲン / 電子スピン / ビラジカル / 酸化還元電位 / 光制御 / スピン整列 / β-ジケトン |
研究概要 |
本研究では、光電気化学的にレドックス制御できるビオローゲンを強い相互作用のもとに共役組織化し、その組織体構造と多段階レドックスの相関関係を理解するとともに、イオンラジカル生成の光電気化学的制御を応用した刺激応答性の分子磁性及び導電性の発現を目的としている。共役系を保ちつつ機能性ユニットを組織化する共役組織化法の開発と、その手法により接続された機能性ユニット間の相互作用を検証することが本研究を推進する上での鍵になる。本年度は、機能単位として用いるピリジニウム系分子に共通して利用することが可能な共役組織化法として、(1)電子不足性のヘテロ芳香族ハロゲン化物との4級化反応、(2)ピリジン類と金属イオンとの配位結合、及び、(3)βジケトンと金属イオンの錯形成に着目し、それぞれの共役組織化法により接続されたピリジニウム間の相互作用と、その光電気化学的な制御について検討を行った。 (1)においては、ヘテロ芳香族リンカーで接続されたビオローゲンダイマーを合成し、光照射化及び電気化学的条件のもとで、4段階の変化を示し、また、芳香環のメタ型で置換されたダイマーでは、2電子還元体が基底三重項ビラジカルになることがわかった。(2)においては、ピリジンを分子の両端に持つビオローゲン分子を合成し、磁性を持つ遷移金属との錯体を調整した。光照射下で、ビオローゲンにイオンラジカルが生じ、繋がれた金属との間に反強磁性的相互作用が働くことがわかった。(3)では、βジケトンで接続されたピリジニウム同士が、金属との錯形成により相互作用し、酸化還元電位が分裂することが分かった。以上の結果は、いずれもそれぞれの方法ビオローゲンの共役組織化と、その物性の制御が達成されたことを示している。今後、より大きい組織体への展開を計画している。
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