研究課題/領域番号 |
11224209
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
杉本 豊成 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (30093256)
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研究分担者 |
吉岡 泰規 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00291451)
黒田 規敬 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40005963)
植田 一正 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (10275290)
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キーワード | テトラシアノキノジメタン / アクセプタ / ラジカルアニオン塩 / 結晶構造 / 室温強磁性的挙動 / 磁気秩序機構 / 分子軌道計算 |
研究概要 |
有機強磁性体は均一性、透明性、軽量性、可塑性や生代謝性等の金属強磁性体にはない大きな特性を有しており、次世代の新しい磁性材料として注目されている。温室あるいはそれ以上のキュリー温度を示す、プルシアンブルー型のクロム、マンガン/バナジウムやバナジウム/クロムの金属錯体、そしてバナジウム/テトラシアノエチレンポリマーが最近発見されるに到り、有機強磁性体が実用可能な新しい磁性材料として現実のものとなってきた。我々もTCNQ、テトラフルオロやジメチル置換TCNQとそれらのラジカルアニオンとの1:2混合塩が室温下で飽和磁化が小さい強磁性的挙動を示すことを見い出した。本年度では、主としてTCNQ混合塩の結晶成長を強磁場下で行い、磁気特性とくに飽和磁化の増大について検討した。地球磁場(ほぼ0T)および5Tの静磁場下で、Cs_2・TCNQ_3塩のCH_<32>CN/Et_2O溶媒系からの再結晶による単結晶の作成をそれぞれ行った。0Tおよび5T下で得られた両結晶について、光吸収スペクトル、X線構造解析、電気伝導度および磁気の各測定結果を比較・検討した。トリマー間CT遷移吸収と考えられるバンドの強度および温度依存に大きな変化が観測された。室温のX線構造解析による空間群および格子定数に若干の相違が認められた。また、電気伝導度の温度依存についても顕著な変化が認められた。さらに磁化の磁場依存の測定より、5Tの結晶の常磁性成分(常磁性帯磁率 ; Xp)および強磁性体成分(飽和磁化 ; ΔMs)が0Tの結晶のそれらより大きく増大した。とくに、5TのΔMsは0Tの20倍以上にもなり、7.5emu mol^<-1>に達した。
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