研究概要 |
種々の2-R-1,3,5・トリアジン4,6-ジチオールを合成し、マグネシウム合金AZ91に対して有機めっきを行い、表面に耐食性と接着性を付与することができ、その有機薄膜を簡単に除去する方法を見出したので以下にその成果を報告する。 マグネシウム合金に対して有機めっきされる種々の2・ジアルキルアミノ・1,3,5-トリアジン-4,6-ジチオールの中で最も耐食性(分極抵抗値と腐食速度)に優れたものは2-ジヘキシルアミノ-1,3,5DHN)であった。皮膜の緻密性、マグネシウム合金との密着性、被膜生成速度などなら検討した結果、有機めっき温度、電流密度、DHN濃度、支持電解質の種類及び濃度などが影響することが明らかとなった。最適条件は、10℃、0.02mA/cm^2,5mmol/dm^3濃度、0.1mol/dm3-NaOH支持電解質であった。この条件で処理されたマグネシウム合金は30,000〜70,000Ω1cmの分極抵抗値が得られ、腐食電流の測定値から計算された腐食速度は0.001mm/yであった。この成果は磁気記録デスクMOのケースに展開し、試験段階では良好な成果が得られている。 一方、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、塗料およびゴム等とマグネシウム合金の接着性を2-ジアルキルアミノ1,3,5-トリアジン・4,6-ジチオールについて検討した結果、2-ジアリルアミノ・1,3,5-トリアジンー4,6-ジチオール(DAN)と1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール(TTN)が有効であることがわかった。塗料の場合はDANが、また接着の場合はTTNが有効であった。 有機めっき皮膜の剥離は還元剤含有ジメチルアミド中で簡単に、痕跡も残さず剥離されることがわかった。また、接着物はヒドラジン水溶液中に浸漬すると剥離されることがわかり、リサイクル可能な技術であることが明らかとなった。
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