汎用性の高いMg-3Al-1Zn(AZ31)合金にECAE加工を施し、ほぼランダムな結晶配向で平均粒径が6ミクロン程度の微細粒多結晶材料を作製した。この材料は室温での引張伸びが47%にも達し、その高い延性の原因を調べた。実験は室温引張試験を種々のひずみ量まで行い、透過電子顕微鏡を用いて変形組織を観察した。また、各結晶粒の引張軸に対する方位をキクチパターンより解析し、すべり系のシュミット因子を求め、転位挙動との比較を行った。その結果、2%の塑性ひずみにおいて、ほとんど全ての結晶粒で非底面への交差すべりが生じていることが明らかになった。さらに、室温における粒界すべりに可能性も調べ、変形に10%ほど寄与していることを明らかにした。これらの実験に加えて、Mg-Y-Zn合金における高温クリープ強度も調べ、Zn微量添加によって形成された積層欠陥がクリープ強度を向上させることが判明した。また、Y添加による強化機構が転位の交差すべりによって律速されていることも明らかにした。
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