研究概要 |
(1)Al, Ca, Zn, Y, Sn, Liの元素を対象に組成探査することによってMg_<97>Zn_1Y_2、とMg_<96>Zn_1Y_3とう合金を見出し,実際にRS P/Mを作製した結果,(室温引張降伏強度,伸び)=(610MPa,5%),(560MPa,6.5%)という値が得られ,本研究の目標値を達成することができた.この値は,従来にない特性であり,マグネシウム合金におけるチャンピオンデーターを更新することができた.これによって,急速凝固法が高強度・高延性の高性能マグネシウム合金を開発する手法として極めて有効であることが明らかになった.また,本合金が,これまでにない新規な6H長周期規則構造を形成していることを初めて明らかにした.この新規な6H長周期規則構造の形成とナノ微細組織が,本Mg-Zn-Y合金の高強度化に大きく寄与していると思われる.さらに,新しい高強度RS P/M合金を開発するために,Scに着目したMg-Sc-X系合金を対象に新しい合金組成を探査した結果,急速凝固薄帯の状態ではあるが,Mg-Zn-Y合金を凌駕する合金(Mg_<97>Sc_1Y_2)を新たに見出すことができた. (2)本研究で提唱した水素化物を用いたMA-HDH法がマグネシウム合金に適応できることが明らかになった.特に,MAすることによって脱水素温度が100K減少するというMA-HDH法に有利な現象が生じることが分かった.また,MAからHDHを経由して固化成形に至る全行程を,粉末を酸化させることなく安全に実施可能なクローズドプロセスを確立した.現時点では,目標とする高強度・高延性マグネシウム合金を開発するまでには至っていないが,引き続き合金組成探査を行うことによって,必ずや高強度・高延性を兼ね備えた新しいマグネシウム合金を開発できるものと期待できる.
|