研究概要 |
半溶融成形加工をマグネシウム合金に適用することにより、高品質材を製造可能となる。また、マグネシウム合金は自動車の熱的負荷のかかる部品へ応用することも期待されている。そこで、本研究では安価な添加元素を含みかつ耐熱性に優れるマグネシウム合金として、Mg-9%Zn-4.5%Al-0.6%Ca合金(mass%)をベース合金として選択し、晶出化合物および析出物の影響を検討するため、Zn量を増加させた合金、Ca添加量を0.lmass%に減少させ、Zn:Al=2:1一定として添加量を増加させた合金に半溶融成形加工法を適用して、半溶融加工条件の確立を試みるとともに高温強度の向上を狙った。以上の各合金を半溶融温度まで再加熱し、半溶融温度範囲における組織変化を調べた。その結果をもとに、最適な半溶融温度にて加圧成形を行い、得られた試料のミクロ組織を観察するとともに熱処理特性、引張特性、薄肉充填性を評価した。 本系合金はAZ91D合金と比較すると凝固温度範囲が広く、かつ固相率の温度依存性が小さい。また、ひずみを導入し、最適な半溶融温度にて成形した試料は、微細かつ球状な固相粒子が均一に分散する。その結果、比較的低い半溶融温度でも薄肉部まで充填することが可能となる。本系合金中に観察される共晶化合物はZn:Al=2:1の合金では主にMg_<32>(Al,Zn)_<49>であり、Zn+Al量を増やすことでその量は増加する。Znの比率が増加するにつれてMgZn化合物も晶出するようになる。また、T6処理により、Zn量を増加させた合金では主にβ'相が、ベース合金ではそれに加えて粒状相が析出する。Caを0.1%と少なくすることにより析出量が多くなる。T6処理した半溶融成形材、特にCaを0.1%添加した合金では以上のような化合物および析出物の増加により、高温引張強さ、0.2%耐力がAZ91D合金を大幅に上回るようになる。
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