研究概要 |
マグネシウム金属の溶融塩電解精製を行い,効率的な電解,良好な精製を行うために必要な各種条件を調査した.電解はマグネシウム金属の融点直上で行い,不純物としては鉄に注目した.研究の結果,マグネシウムを陽極溶出と陰極電析を同時に行う,電解精製法が溶融塩中で可能であることを確かめた.電解精製法において,マグネシウム電析を効率的に行うためにはある程度の駆動力,すなわち陰極過電圧が必要なことを明らかにした.一方,不純物除去のためには陽極過電圧があまり大きくない方が好ましいことが確かめられ,この結果は前年度までの不純物元素の電気化学的挙動の検討結果と一致した.また,マグネシウム金属の溶融塩電解精製は,陽極・陰極過電圧以外にも電解浴の精製などいくつか要因に影響を受けることを明らかにした.一連の検討の結果,最適な条件下で良好な電解精製が行えることが確かめられ,鉄を約400ppm含むマグネシウム金属を電解精製することにより,鉄含有量を10ppm以下に減らすことができた. 溶融塩と金属マグネシウムを接触させた場合,電解を行わなくても化学反応により両相の成分元素の移動(分配)が起こり,マグネシウムの電解精製に影響を及ぼす可能性がある.また,このような現象は,マグネシウム合金の再溶解や成分調整時にも影響を及ぼす可能性がある.このような観点から,塩化ランタンを含む溶融塩と金属マグネシウムを接触させ,ランタンの挙動について検討した.実験の結果,マグネシウム金属中にランタンが移動して平衡に達することを見いだし,分配係数を求めるとともに,平衡定数について検討した.マンガンについても同様の検討を行った.
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